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2012-07-21

大津いじめ事件について雑感

例えば。
ある、高校生カップルがあったとする。彼らは現在大恋愛中で、勉強も部活も手につかない、寝食を忘れるほど相手にのめり込んでいる。
「この人がどうしてこんなに好きなんだろう」「この人を失ったら自分は生きていけない」と何百回も繰り返し、相手がそばにいるときはさらなり、明日学校で会えるしメールも電話もやり放題なのに、別れる時は毎日苦しくて泣きそうになる、そんな恋愛。
あなたも体験したことがあるだろうか。

彼らは世界が、彼女と彼と、そして少数の自分たちの恋に興味を持つ人々と、大勢の無関心な人々と、それとは比較にならないほどもっと圧倒的大勢のそもそも彼らを知らない人々によって構成されていることを知らない。
にもかかわらず、彼らの恋愛感情は「二人のために世界がある!」とまで純粋さと排他を極め、高められてしまうのである。

ネットで時々ドヤ顔(この表現は無教養なものの下卑た得心を三字で表している秀逸な言語だとは思うが、あんまり論文や改まった席には出せない言葉だと思う)で「『愛』の反対は『憎しみ』ではなく『無関心』」だという人がいる。これはマザー・テレサの名言として有名なわけで、この方は大変に偉い方なのでケチをつける人はそんなにいないと思う。恐らく、誰かに憎しみを持った人が、その人を愛すことを拒絶したいとテレサに訴えたのだろう。で、それに対する返答ではないか、と私は思う。そのときの資料が手元にないので私は迂闊なことを書いてしまっているかもしれないが、ウェイトは「憎しみ」にあったことは間違いがないとは思う。

ところで、「江戸の仇を長崎で討つ」というふるいことわざが日本にもある。「末代まで祟ってやる」という紋きりの恨み節を私たちは知っている。人間の、他人への憎しみにかけるエネルギーは結構すさまじいものである。
憎しみの反対もまた、「無関心」ではないだろうか。


大津市の大規模ないじめ隠蔽事件において、加害少年たちと担任の本名やプライベート写真でアップされ、国内のネットが鳴動したのは今から二週間も前だが、今もその騒ぎはまったく収拾を見ていない。
何万人もの人々がSNSや掲示板、ブログなどで訴えているのだが、教育指導者の集団隠蔽体質、警察のずさんな捜査などがやはり根幹にはあり、ここ数日ようやく彼らの謝罪の言葉が聞こえてきたものの、それだけで済まされない状態になってきている。
いじめというキーワードにまさかこんなに国民が敏感に反応して騒ぐとは、実は偉い人々も思ってはいなかったのではなかろうか。今はおかしな時代で、それだけいじめというものに触れたことのある人々が多いのだ。いじめっこ、いじめられっこだけでなく、アホらしく幼稚ないじめに加担せざるを得なかった人々も、傍観を強要された人もいるだろう。いじめとは狭い箱の中の地雷行為・地雷現象であり、結局のところ当事者たるいじめられっこだけでなく、他のどんな役も人々は引き受けたくないのだ。

それなのに、いじめっこやいじめられっこは、実はこの当面のいじめ行為のために世界が回っているというなんだか訳のわからぬ解釈をしている。私の尊敬するある作家さんが、自殺したいじめられっこの物語で「(三年経てば進学していじめから解放されるというのに)なぜ待てなかったんだろう」と、彼と友人だった主人公に語らせている。部外者としてはそんな気持ちになるというのに。待てないのだ。
もう、日常の総てがいじめに関連付けられてしまうのだ。何をしていても、誰といても、何を見ても聞いても、自分はいじめの世界の真ん中にいて、何かのエネルギーを常に放出してしまっている、と思ってしまうのだ。
そんな心理が一日二日といわず何年も続く、しかも一日たりとも休みなく続くという状態。
……それは、地獄というものではないだろうか。


冒頭で持ってきた若い男女の恋愛とマザーテレサの名言、そしてこの「いじめ」は案外類似点があるのである。それに気がついて倒錯活路を見出したのがアダルト業界のSMプレイの分野で、残念ながらノーマルな私は全然関心がないのだが。
失礼ながらマザー・テレサの言葉を拝借して改変すると、「いじめの反対はいじめられではありません、無関心なのです」。

これに気がついた人々は「いじめ」を幼稚な自己主張と見做し、いじめという行為そのものから段々と卒業していく。

なお、愛と憎しみがそうであるように、いじめといじめられのエネルギー値は「害」に加被の別はあっても、基本的に同一で釣りあっている。
「いじめられの反対はいじめではありません。無関心なのです」。
そう考えたら、いじめ問題をひとつの大きな事柄として掴み、改善する策がそれぞれに見えてはこないだろうか。
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theme : いじめ
genre : 学校・教育

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Chiduru.Y.

Author:Chiduru.Y.
小説を書いています。
しばらく更新が途絶えていましたが、また肩の力を抜きつつぼちぼち書いていこうと思います。

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