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2012-10-27

捻り、効かせてますか?

小説を書くにあたって、捻りというものがない単純な小説は今時ウケナイ、という意見が、今日読んだとあるブログにあった。
確かにその通りなのだ。紆余曲折、ふり幅のない小説はつまんない。

単純な小説を書く傾向のある人を見つけ出すのは、意外に簡単である。
その人の前でオヤジギャグのひとつでも言ってみて、それにすぐ本気で笑う人を見つければいい。
こういう人は精神構造が比較的単純で、よく言えば世間の荒波を知らず育ちがいいのだが、悪く言えば世間知らずで物事を見る目が幼稚であるとも言える。幼稚な視界だからこそ、ごく小さな刺激に満足し、笑いの沸点も低い。
怒りや泣きの沸点は大抵の人々は親や環境でしつけられるが、笑いはしつけを受けにくい。そこで、その人が実は世の中をどう思っているかも概ね分かってしまうのである。

世の中をつぶさに見てきた人々は、或いは知能指数が高く人の心の動きが比較的計算で読めるような人々は、笑いの沸点が非常に高く、滅多なことで感情を露にしない。別に彼らは感情を表さない方が有利だとは思ってはいないのだろう。ただ、どうしてもそうなってしまうのだと私は思う。
こういう人たちが小説を書いたとき、物語は上り下りも激しく複雑に曲がりくねった、黄山の山道さながらに変化する。面白い小説と言われる一条件を満たすのだ。しかし、実際に彼らが小説を書くと、それほど素晴らしい作品は出来ないように私は思う。やはり佳作というのは生半可な条件付けなどで出来るものではないのだ。

話を元に戻す。
私は30過ぎまで実にのどかな環境にいた。同僚がくだらないオヤジギャグを飛ばしてはそれに一人で笑い転げるような、何も知らなくていい環境に生きていた。
当時私の書いた小説を読んだ人は、私のような人間がそこにいることにある人は苛立ちを覚え、ある人は驚きを隠せなかったと思う。勿論、いい意味ではない。私は当時、自分のポジションがどういうものか、全く分かってはいなかったのだ。
私の書いた小説は私基準では「面白い」ものだった。私は自分の面白さというものを検証したこともないし、自分が自分の中で一番楽しい小説を書いていればそれで構わないと思っていたし、他の人が評価しなくてもそれは面白さの判断基準が違うからだ、と思っていた。その感覚は、今に至るまで基本的には変わっていない。

私の小説を「つまらない」と表現した人は、なぜか私がその人の作品を「面白い」と思っても、そのよさをいっこうに認めない人々に取り囲まれていた。私はその人を少し気の毒に思った。否定するために存在している人たちにいつまでも取り囲まれているその人が、まるで罪人のように思えたからだった。
無論、その人の認めた「面白い」小説は私の目にも確かに面白くは感じた。しかしその人の認める面白さの幅は、どれも、結局若干狭いものだった。
私の主人は少女マンガを認めない。だからなんとなく買った何冊かの少女マンガも果たして面白いと思って読んでいたかは微妙である。それに似ている。一種の孤高のグルメみたいなタイプかもしれない。

しかし、実際に私の小説は自己解析してもやはり今に至るまでさほどの捻りというものが加えられていないと思う。プロットを作る段階で、どうしても単純に時間を進めて行き、単純に物語を広げてしまうのだ。もうこれは自分の習慣であり、それをどうこうすることは私の能力では難しい。無論、ストーリーの途中で良いと感じた流れが出来れば、それに寄り道することは確かにあるが、それは別に捻りとは別の技術であるように思える。

参った私は次の手を打つことに決めた。
小説の本筋を捻れないのなら、もう初めから仕掛けに懲りまくって、単純な物語をミスリード塗れにしてしまったり、枝葉のエピソードを工夫したり、あちこちを繋げたりしながらストーリーの密度を上げていけばいいじゃないか、と。
単純な物語を単純にしないため、或いは読者をあきさせないためには確かに工夫が必要なのである。オヤジギャグに笑い転げたあの頃の私は、今はもうそんなことでは笑わなくなったが、だからと言って捻りを効かせた小説を書けるようになっているとは自分でもとても思えないのだ。

小説はやはり料理に似ているのだろう。読者が飽きないような、いつでも美味しく食べてくれるような、そしてお金を出しても食べたいと思ってくれるような作品を、私はいつも理想として今日も心の台所に向かうのである。
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theme : 小説作法
genre : 学問・文化・芸術

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まとめ【捻り、効かせてますか】

小説を書くにあたって、捻りというものがない単純な小説は今時ウケナイ、という意見が、今日読んだとある

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しばらく更新が途絶えていましたが、また肩の力を抜きつつぼちぼち書いていこうと思います。

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